web小説界、稀に見る傑作

人間の悪意とは個人の裡に生まれるものではなくどこか別の場所にあって心の隙間に入り込み、けっして抗うことはできないのだという闇を感じさせ、そう考えるとこの物語が我々にとってとても身近な話であると感じざるを得なく、薄寒くなりました。
口唇(キス)、月、火、黄泉、門といった〈女性〉を思わせるフレーズが散りばめられているのもおもしろいです。生と死、終わりと始まり(誕生)を暗示させるそれらは、たしかにアルファでありオメガでもありますね。私はそう解釈しました。
複雑な構成、独特な言い回しなど特筆する点を挙げればキリがありませんが、なにより私はこの話を描ききったことに尊敬を覚えました。確かに昨今の流行ファンタジーとは毛色が違いますが、見事な傑作であると確信しています。
バイバイ、またあいましょう。

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