人間は芸術だ。そしてその人間を書く小説もまた、芸術なのだとあらためて想わせられました。それにしてもほんとうに強い輝きと陰りのある筆致。紙の上で脈動し呼吸するような。うねりを感じます。このうねりこそが、人間というものなのでしょう。極上の作品を堪能させていただきました。ありがとうございます。
芸術家をモチーフ、テーマに持つ物語に相応しい、幻想的で美しい文章が目を引く物語です。 タグにある夢十夜、夏目漱石という単語から想像される通り、主人公の男女にはどこか影があり、人格に欠落した点が見られる所にも惹かれます。心理描写、情景描写に力を注いだという通り、比喩表現がとても綺麗で、それに見合う構成を備えている所が正に現代ファンタジーです。
すっと染み渡るような文章が素敵でした。「孤独が溶ける」なんて素晴らしい表現です!それに加えて物語の臨場感。グロテスクなのに、どこか美しいお話です。気になる点がひとつ。「そして画材入れを閉じ、ふと目に入ったネームプレート隠すように布を被せる。」これは「そして画材入れを閉じ、ふと目に入ったネームプレート『を』隠すように布を被せる。」の方が良いと思います。楽しかったです。ありがとうございました!
芸術という観点かファンタジーを書いているのがすごく面白かったです。あまりファンタジーしていないところが、逆に読みやすかったです。短く完結デキているのが素晴らしと思いました。
桔梗をテーマに芸術を愛する2人の想いが交錯していきます。夢における描写や心情の見せ方が独特で好きでした。人の内面により重きを置いたストーリーです。ぜひ読んでみてください!
「桔梗」をモチーフに、芸術に生きた者たちの繋がりと厳しさ、儚さを描く。それは芸術を志した者にしかわからないのだろうか。幻想的な雰囲気の中で、読者に考える事をゆだねる、短編だからこそ描ける世界が美しい。
芸術に命をかける。まさに、この言葉を体現したテーマの小説でした。豊かな表現力と芸術に対する鋭い洞察が織り成す美しい物語。
花と鉄像と檻……純文学の短編として惹きつける力のある作品だと感じました。幻想的でかつ芸術を目指す人間の繊細さが丁寧に描かれていて、常に自分の感性との闘いがあるのだろうと察せられます。そこから吹っ切っていく者もいれば、乗り越えられない人もいる。夢を通じて現実の何かが大きく移動する……そんな不思議な感覚を残してくれる良作です。
拝読しました。芸術家の恋や独自の考え方を捉え、それを描写する作者の高い文章力に感嘆します。桔梗の花言葉は「永遠の愛」「清楚」「気品」などが挙げられます。作中の彼女は白のスーツを着ているので、白の桔梗の花言葉「清楚」が連想されます。しかし語り手からしてみれば「永遠の愛」なのでこの二つの花言葉が相まって、文章の美しさが最後に引き立つ感じでした。素敵な作品を書いてくださり、ありがとうございます!
夢とはなにかと聞かれたら何も言えない自分ですが作者様の作品を読ませていただいたら夢とは何かがわかるような気がしましたこれからも頑張ってください!
夢とは不思議なもの。正夢だったり、空想の産物だったりする。それを元に芸術家の光と闇に鋭く切り込んだ作品だと思います。主人公たちが恋愛関係にあったのかは分かりません。でも、光と闇、惹かれ合う所があったのかもしれません。作者の独特の作風に感動しました。