北乃家をめぐる些細な物語と意外と長い歴史の短編集~北乃家サーガ~

作者 関川 二尋

43

15人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

「執筆にお悩みではありませんか?」

 突如現れたAIに、10個のお題を出される作者。
 一話を作るのに二日というギリギリな状況で、作者が考え出したのは、『北乃家』を中心とするなんてことない日常コメディ。
「シチュエーションラブコメ? 家族モノでどうしろって言うんだよ!」と叫ぶ作者。
 どんどん増えているキャラクター。
 広がっていく、人と人のつながり。

 物語と現実。
 二つの世界を行ったり来たりしながら、物語はエンドに向かって走ります。
 それでも、物語は綴られなくても、北乃家はつながりを増やしていき、作者の日常は続いていく。

 ほっこりしたい方にぜひ!

★★★ Excellent!!!

今はもう懐かしい感じさえするカクヨム三周年記念選手権。
数日おきに十ものお題が出され、テーマに沿った短編を発表するというお祭り企画は、書く人も読む人もかなりハードだったかと思います(笑)

人気と実力を兼ね揃えた作者様が、そんなフクロウコン(当時の通称)を振り返りながら、カクヨムの公式キャラクターであるバーグさんとの交流を幕間にはさんで全十作をまとめたのが本作となります。

連作短編のような形式で、北乃君というどこにでもいそうな少し気弱な青年の半生を辿った本作。
ある日出会った一羽のフクロウとの会話が、主人公に小さな一歩を踏み出させるきっかけとなります。
その小さな一歩から劇的に人生が……変わるわけではありません(笑)
ただ、その一歩が「温かな家庭」という、ささやかながら何ものにも変え難い宝物を築いていくスタートになっています。

約三十年に渡る北乃君と家族の物語は、平々凡々として、それでいてこれ以上にないくらいほっこりとした温かさに溢れています。
最終話では、また一人新しい家族を迎えた北乃君が、自分が踏み出した初めの一歩を振り返り、新しい家族に伝えることで、家族の絆や温もりが連綿と続いていくものであると感じさせてくれました。

幕間に描かれるバーグさんが登場する度に変化していくのも、人の温もりを読み手に伝える演出の一つなのだと思いました。

少し疲れた時にも気軽に読めて、心が温まって元気になれる、一家にひとつ常備しておきたい物語です。

★★★ Excellent!!!

この作品は「カクヨム3周年記念選手権~Kakuyomu 3rd Anniversary Championship~」の参加作品です。

数日ごとに運営から十回のお題が提示されて、それに則した内容の物語を作るという企画でした。

これに作者さんは北乃家というごく普通の家族が夫婦となり、子供が生まれ、またその子供が結婚するという家族の小さな歴史を描きながら、そんな彼らの日常を切り取って物語にするという形で挑戦しました。

どれも暖かくアットホームな雰囲気が漂っていて、家族のアルバムを振り返ってみているような気持ちにさせられます。

同時に企画に参加している作者さんの苦悩も合間で描写していて、イベントの際の雰囲気が伝わってきます。

企画参加作品ということもあって一風変わった雰囲気のお話ですが、作者さんならではの愛嬌のあるキャラクター像は健在で、安心して読めると思います。

★★★ Excellent!!!

現実と物語の世界が交差する、心温まる短編集。
企画で執筆られた物語を、無理なく綺麗にまとめられた超優秀な作品集です。

北乃くんを中心とした家族の物語を綴るだけでなく、現実では電脳バーグさんが成長し目的を遂げる……巧みに多重の価値を付加した手腕はさすが関川さん!

ここで終わってしまうのがもったいない、もっと連載して欲しい、そう思わせてくれる作品です。

★★ Very Good!!

嫁は攫われ、悪逆非道な巨悪を前に、平和を愛する主人公が拳を振るう。

「いまは身内で争っている場合じゃあないんだ!」

「いつの世も見えぬ大威より、目に見える小威で人は諍いをおこす」

進むべき道をしりながら、目に見える近しい人々を救うために、ちいさな日々にはまりこんでいく。そんな中、出逢った人物が、その後の彼の運命を変える。

「いまは国を開いて、貿易をおこない。国を富まして力を蓄えなくてはいかんぜよ」

「リョウマさん……ボクが間違っていました。拳だけでは解決しないのですね。北乃神拳は封印します」

そんな中、凶報が北乃のもとに届いた。

恩人が暴徒の凶刃に斃れたと。