現実の世界の作家(関川さん!)のストーリーと、関川さんが次々に降ってくる無茶ぶりなお題から紡がれる、あるファミリー(北乃家)の物語との二段構成という、ちょっと珍しいタイプのお話です!
北乃家は、漫画家のおばあちゃんから養子の美少年からミステリアスな娘までいる、変わった家族構成のなかなかの大ファミリーですが、切り取られる日常は極めて現実的で、どこの家庭にでも溢れているアットホームな一コマ。それでも、思わずクスッと笑ってしまうのは、何でもないところからコメディを引き出す、作者様(関川さん)のパワーを感じさせます!
一方で、なぜか現実のはずの、関川さんを取り巻く世界で、不可解な現象が発生し、その意外性がおもしろいです。
そして、現実なのに、どこか非現実。魔法でもかかっているような不思議な設定なのに、どこかラブコメ要素が混じって、ほのぼのとしている中にも、幸せを感じる場面とか、これはこれでまたおもしろいです。
2話で1セットの構成で、しっかり読み応えがあって、しかしながらサクサクと楽しく読めてしまうところ、関川さんはさらりとやってのけているように見えますが、かなりのリーダビリティが必要かと思います。
短くて易しいのに読ませる力がある、関川さんの作品は、この作品に限らずどれも魅力です!
これからも執筆がんばってください!
関川さんは人気企画ハーフ&ハーフでも見られるように、色々と面白い企画を打ち出されている方なんですど、この作品でもまた独自のKAC参加スタイルを築かれ、大変ユニークな作品作りに取り組まれたことが伺えます。
本作のストーリーは幕間→本編→幕間→本編……という形で進行していきます。
幕間で青年Web作家(関川氏)がカクヨムからKACシリーズのお題を突きつけられ、その無茶ぶりとも思える試練に立ち向かいそして書き上げたのが本編の『北乃家の物語』です。
テンポのいい幕間とそして心にそっと染みこむ北乃家の物語。
この作品の温かさなどを見ていると、その書き手さまが大事にされていることが分かってきますよね。
飯テロ、中二病、その他もろもろ、読み進めるうちにああ、いい物語だなとしみじみと感じました。
KACシリーズの挑戦は本当にしんどいですけれど、関川さんは連作短編という形でまた別の所でも勝負されてのだな、とそのご苦労を思います。
家族になるってそういうことなんですよね。家族を描くってきっとそういうことなんです。
とても読みやすく心に馴染み、優しい気持ちになれる作品です(#^^#)
おススメいたします!
こちらはカクヨム内のイベント・KAC用に発表された連先短編に、エピソードを追加してひとつの長編の形に仕上げられたものです。
連作短編に登場するは「北乃家」。
あらすじにも書かれてあるように、特に大きな事件が起きるわけでもない、ごく普通のひとつの家族。
毎回、家族の誰かが主人公となって、日常の小さな出来事をしみじみと語ったり演じたりしてくれます。
幕間のエピソードは、そんな連作短編を執筆し続ける一人の青年のお話。
こちらには「バーグさん」という、とても聞き覚えのある名前の女性キャラが執筆支援AIとして登場。
二人で小説の執筆について軽妙なやりとりを見せてくれます。
温かな家族と、執筆に悩む青年。
この、どちらの世界もがとても味わい深く、さらにお互いのうまみがいい具合に溶け合って…
ありふれてるけど極上の、まるでビールと焼き鳥のようなコンビネーションを味わわせてくれるのです。
とにかく読んでください。
このうまみ、必ずクセになります。
構成がとても面白いです!
北乃家の日常を描いているのは、カクヨム三周年記念選手権の参加作品です。これがまたとてつもなくタイトなスケジュールの選手権で、二日おきにお題が出され、四十八時間で短編を書き上げないといけませんでした。
その作品を書くために現れたカクヨムマスコットのバーグさん。幕間で彼女が次のお題を持ってきて、編集者のように応援してくれます。しかも少しずつ進化していき、読者の心を掴みます。
連作短編の方では、北乃家の人々の心のふれあいが温かく描かれていきます。どのキャラクターもいきいきとしていてとても魅力的です。笑いあり、ほろりと泣かせるシーンもあり、ささやかな幸せが一番大事だと教えてくれます。
よくもまぁ、この難しくハードな選手権を、連作短編として書いたものだと感心します。その上更にそれをこんな風に調理するなんて! すごい! の一言。ぜひぜひ読んでみてください。一作ずつも面白く、全体も面白い、そんな作品です。
「執筆にお悩みではありませんか?」
突如現れたAIに、10個のお題を出される作者。
一話を作るのに二日というギリギリな状況で、作者が考え出したのは、『北乃家』を中心とするなんてことない日常コメディ。
「シチュエーションラブコメ? 家族モノでどうしろって言うんだよ!」と叫ぶ作者。
どんどん増えているキャラクター。
広がっていく、人と人のつながり。
物語と現実。
二つの世界を行ったり来たりしながら、物語はエンドに向かって走ります。
それでも、物語は綴られなくても、北乃家はつながりを増やしていき、作者の日常は続いていく。
ほっこりしたい方にぜひ!
今はもう懐かしい感じさえするカクヨム三周年記念選手権。
数日おきに十ものお題が出され、テーマに沿った短編を発表するというお祭り企画は、書く人も読む人もかなりハードだったかと思います(笑)
人気と実力を兼ね揃えた作者様が、そんなフクロウコン(当時の通称)を振り返りながら、カクヨムの公式キャラクターであるバーグさんとの交流を幕間にはさんで全十作をまとめたのが本作となります。
連作短編のような形式で、北乃君というどこにでもいそうな少し気弱な青年の半生を辿った本作。
ある日出会った一羽のフクロウとの会話が、主人公に小さな一歩を踏み出させるきっかけとなります。
その小さな一歩から劇的に人生が……変わるわけではありません(笑)
ただ、その一歩が「温かな家庭」という、ささやかながら何ものにも変え難い宝物を築いていくスタートになっています。
約三十年に渡る北乃君と家族の物語は、平々凡々として、それでいてこれ以上にないくらいほっこりとした温かさに溢れています。
最終話では、また一人新しい家族を迎えた北乃君が、自分が踏み出した初めの一歩を振り返り、新しい家族に伝えることで、家族の絆や温もりが連綿と続いていくものであると感じさせてくれました。
幕間に描かれるバーグさんが登場する度に変化していくのも、人の温もりを読み手に伝える演出の一つなのだと思いました。
少し疲れた時にも気軽に読めて、心が温まって元気になれる、一家にひとつ常備しておきたい物語です。
この作品は「カクヨム3周年記念選手権~Kakuyomu 3rd Anniversary Championship~」の参加作品です。
数日ごとに運営から十回のお題が提示されて、それに則した内容の物語を作るという企画でした。
これに作者さんは北乃家というごく普通の家族が夫婦となり、子供が生まれ、またその子供が結婚するという家族の小さな歴史を描きながら、そんな彼らの日常を切り取って物語にするという形で挑戦しました。
どれも暖かくアットホームな雰囲気が漂っていて、家族のアルバムを振り返ってみているような気持ちにさせられます。
同時に企画に参加している作者さんの苦悩も合間で描写していて、イベントの際の雰囲気が伝わってきます。
企画参加作品ということもあって一風変わった雰囲気のお話ですが、作者さんならではの愛嬌のあるキャラクター像は健在で、安心して読めると思います。
嫁は攫われ、悪逆非道な巨悪を前に、平和を愛する主人公が拳を振るう。
「いまは身内で争っている場合じゃあないんだ!」
「いつの世も見えぬ大威より、目に見える小威で人は諍いをおこす」
進むべき道をしりながら、目に見える近しい人々を救うために、ちいさな日々にはまりこんでいく。そんな中、出逢った人物が、その後の彼の運命を変える。
「いまは国を開いて、貿易をおこない。国を富まして力を蓄えなくてはいかんぜよ」
「リョウマさん……ボクが間違っていました。拳だけでは解決しないのですね。北乃神拳は封印します」
そんな中、凶報が北乃のもとに届いた。
恩人が暴徒の凶刃に斃れたと。