純文学的快作である。頓珍漢な両親を庇い続けることでしか自分の人格を保てず、結局両親のおかげで本来の人格を剥奪され続けてきたという矛盾。 その矛盾が自分に向けば自殺になるし、他人なら他殺になる。一片の疑問もなく清々しいまでの明確な動機だ。 それだけに、恐らくは獄中手記であろう本作の凄味がまざまざと印象づけられる。
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