終章:世界が変わるのか、わらわたちが変わるのか

 浦島太郎ではないがの、高天原タカマガハラから戻るとパラダイスではクーデターが起こっておった。


「鈴木。どうする? 佐藤が失脚した今、パラダイスに戻ればそなたは英雄じゃぞ?」

「姫さま。妻と子らとも連絡を取って決めました。どうか姫さまのお側で働かせてください」

「よいのか、それで」

「はい。子らも成人すれば私以上に家計や国のことに力を注ぐでしょう。ですので、山女王国にあって、世界を良くする仕事に打ち込むようにと」


 鈴木はこう言う。

 けれどもの、実はわらわにはまだ自信がないのじゃが。


「ひいさまあー。そろそろお相手を見つけたらいかがですかあー?」

赤子セキコ、なんの相手じゃ」

「またまたあー。伴侶に決まってるじゃないですかあー」

「伴侶なら鈴木とおのれらじゃが」

「・・・っ! ひ、ひいさまあー。照れること言わないでくださいよぉー。そうじゃなくて、husbandの伴侶ですよぉー」

「突然横文字になるでない。まだ、よいわ」


 そうじゃの。

 いずれ身も固めねばなるまい。


 やることが山ほどあるわ。

 20歳はたち前とは言いながらぼやぼやしとるとあっという間に婆になるわの。


 まあ、わらわたちはちょっとは変わったじゃろう。神さまもご都合があってお疲れになられるという思いやりを少しは思い出したからの。


 そういえばわらわの名前を言うてなかったの。


 日月照注にちげつしょうちゅう、じゃ。


 普通すぎてびっくりしたろ。




 FIN

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