Lesson03 最後の関門へ

 俺を含む八十人の子どもたちが施設オアシスに入れられたとき、そこにはすでに二十人の子どもがいた。そいつらが準構成員ミドルだった。俺たちは四人ずつに分けられて、準構成員ミドルたちに割り振られた。

 数歳上のお兄さんと言った感じの準構成員ミドルたちは、俺たちに戦うための技術を伝えた。俺たちの出来が彼らの評価につながるから、たいていの準構成員ミドルはかなり厳しいトレーニングを部屋の子どもたちに課した。


 でも、俺の部屋を担当していた準構成員ミドルは他の連中とは少し違った。

「強くなければ生き抜けない世界なんだ。だから、強くなっておけよ」

 筋力トレーニングのときには、そう言って懸命に俺たちを励ましてくれたし、武器の使い方を教える時だって、始めのうちは手取り足取り丁寧に教えてくれた。

「カンだけでテクニックを身に着けるのは難しいからな。始めのうちは優しく教えてやる。でも、覚えが悪かったら容赦しないからな!」

 上手くできたときには言葉を尽くしてほめてくれたし、風呂で体を洗ってくれたり、手書きのカードでゲームを教えてくれたり、外の話を聞かせてくれたりした。


 両親を失って天涯孤独だった俺は、このお兄さんにだけは心を許し、家族のように慕っていた。毎日が辛い訓練の日々だったけれど、数年もの間、どうにか逃げ出さずにいられたのは、お兄さんのおかげだろう。


「誰一人として脱落せずについてきてくれて、本当にありがとうな」

 最終試験の前の晩、お兄さんは俺たち部屋のメンバー四人を集めて、深々と頭を下げた。

「おかげで、俺は今の準構成員ミドルの中でトップの成績らしい。もし最終試験に合格できれば、いきなり幹部候補だってさ」


 すごいことのはずなのに、お兄さんはあまり嬉しそうじゃなかった。

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