After Lessons いつか誓いを果たすまで

 断続的に戦争が続く長い混迷の時代も、The end of warsあらゆる戦争の終結という最後の世界大戦によってようやく終わり、平和と安定が訪れたかに見えた。しかし、支配する者、される者に世界は二分され、力のない者の苦難は続いた。そんな中でもたくましく生き抜く者の中には、人殺しによって生計を立てる者がいて、権力者たちに恐れられていた。


「殺し屋を殺すための組織が必要だ」


 誰かが言ったその一言で、殺し屋を処分する専門組織、アンチ・キラーは創設された。


 有能な殺し屋を始末するために、僕たちは幼いころから過酷な訓練を課され、集団戦術を教えられ、仲間や家族をも平気で殺せる非情さを身につけさせられた。


*****


 アンチ・キラー、殺し屋を殺すための組織。子どもたちを集めて鍛え上げ、殺し合いをさせ、殺し屋をも凌ぐ暗殺技術を身につけさせて利用する。悪い奴らの作った、金儲けの道具。僕はそこで育ち、多くの恩人と、仲間と、後輩を殺した。



 そして、強くなった。


 俺が殺したいのは、見ず知らずの殺し屋なんかじゃない。

 アンチ・キラー。それから、そんな歪みを作ったこのだ。

 絶対に許さない。いつか、必ずぶっ殺す。


 血に濡れたナイフを睨みながら、俺はを思い出していた。

 たった今殺したのは、俺の復讐には無関係の人間だった。でも、殺さなければ金はもらえない。だから殺した。いつか誓いを果たすその日まで、生きていくには、金が必要だ。


 どんな卑怯な手を使っても、悪い奴は殺さなくちゃいけない。

 だから、俺は殺す。相手が善良なやつだろうと関係ない。復讐を遂げるその日まで俺はただ殺すだけだ。 

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