小指をからめて息をする

ふるいふるい時代のかおりと、桜の枝を携えて、少年は「私」を見下ろし問うた。
「きよらな瞳のおまえの姪への、求婚のなかだちとなってはもらえまいか」と。
――人の身にあらざる少年が名を示す彼女は、「私」が求めてやまないものを持つ、「私」の同い年の姪。たったひとり、「私」とお揃いの女の子。
「私」は姪のしあわせを願って、彼の願いを聞き入れるが……。

「指切りげんまん、嘘をついたら、千歳の先まで神隠し」

いつかとことわの春へたどりつくようにと祈られた、これは架空現代の異類婚姻譚。

桜の開花にあわせ、本日中に全3話にて完結します。
桜の樹の子を身籠もる少女の短編「私のまぶたに背信を咲かせて」、前日譚となります。
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