禁忌魔法
伊崎夢玖
第1話
「カズヤ、話って何?」
「うん…
「…」
「
闇の精霊が現れ、サクラに
昔、ある男が俺のように気に入った女を片っ端から
女たちは男の玩具にされ、飽きると殺された。
男が捕まった時、男の屋敷の地下には数えられないほどの人骨があったらしい。
そんな悲しい事件があったために
(バレなければ大丈夫)
「サクラ、お前の好きな奴は誰だ?」
「カズヤだよ」
「本当に?」
「本当だよ」
ちゃんとサクラに
これでサクラは俺の物。
誰にも渡さない。
べったりと俺の腕に絡みついてくるサクラと共に俺の家に向かう。
この世界で魔法の不適切な使用は懲罰を科せられる。
正当防衛なども相手に怪我を負わさない程度なら懲罰にはならないが、重症以上の怪我を負わせた場合懲罰委員会にかけられる。
誰にも知られてはならない。
だから、周囲に魔法感知阻害魔法を施しておいた。
しかし、どこから漏れたのか分からないが、俺がサクラに
突然家に役人がやって来て、サクラと共に懲罰委員会に出頭させられた。
「これはどういうことだ?」
「どういうとは?」
「サクラはなぜ
「
「サクラ、君はカズヤが好きなのか?」
「はい」
「
「
してやったと思った。
魔法の解除は術者が解くか、術者以上の魔法能力のある者が解くしかない。
俺はこの街で5本の指に入る程の魔法能力がある。
そう易々と解除できる人間なんていない。
「…仕方ない。入ってきたまえ」
ドアが開くとそこにはタクヤがいた。
俺の双子の兄で、俺よりも魔法能力が上だった。
ここにタクヤが現れた意味を瞬時に把握した。
「どうしてこんなことをするんだ、カズヤ」
「俺は何もしていない」
「…分かった」
タクヤはサクラの頭上に手を翳すと、呪文を唱えた。
「
途端にサクラは意識を手放した。
それは魔法を
意識消失だったり、記憶障害だったり…。
サクラにどんな副作用が現れるかはサクラの意識が戻ってからでないと分からない。
「カズヤ、君はサクラに魔法をかけていたね」
「黙秘する」
「それは君にとって不利益にしかならない。言いたいことがあるなら言うんだ」
「何も言いたくない」
「カズヤ…」
俺がサクラに魔法をかけていたことはこれで証明された。
しかし、それが
懲罰委員の老害共はこそこそと話をしている。
俺の懲罰でも決めているのだろう。
昔からサクラはずっとタクヤばかり見ていた。
タクヤもサクラだけを見ていた。
二人は両想いだった。
そんな二人の姿を幼少時からずっと見てきた。
そんなこと、耐えられない。
それなら、いっそのこと全部なくしてしまおう。
「
次の瞬間、俺の周り一帯が火の海と化し、懲罰委員の老害共やタクヤ、サクラまでもが火の海に巻き込まれた。
あっという間に皆死んだ。
術者である俺自身も身を焼かれ、言葉を発するのも辛い。
しかし、死ぬ前にやらなければならないことがあった。
「
そこで俺は命尽きた。
三日三晩暴れた
命尽きる前に最後に俺がやらなければならなかったこと。
それは絶対に犯してはならない『同族殺し』という最大の禁忌だった。
禁忌魔法 伊崎夢玖 @mkmk_69
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