#7 夜間・カラカルの本音(終)

 キュルルは戻ってきた。私たちの旅はまだ続きそうだ。本当はとても嬉しい。けど、そんな気持ちは表に出せない。くすぐったいからね。


 でも、やっぱり言葉にしなきゃ解らないことはあるよ。きっと。全部が全部言うこともないし、言ったところでどこまで伝わるのかは解からない。でもやっぱり、私はアンタと仲良くやっていきたいし、この旅を喧嘩も少ない楽しいものにしたいよ。


 だから、私もたまには警戒心を解いて、ほんの時々、言いにくい本音も言うことにしようかしらね。キュルル、アンタも遠慮なんかせず、ちゃんと言いたいこと言いなさいよ。


 ……あれ?




「なくしちゃった、アンタのスケッチブック!!」

「もぉっ、何やってんの!!」


 大事な物をなくされてプリプリと怒るキュルルと、本音だけのとりとめのない口論は続く。――うん、ちょっとぐらいは遠慮もある方が丁度良いのかもね。


―了―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る