#2 昼時・キュルルの本音
どうして、そんなこと言うんだよ。ずっと待ってたのに。また一緒に遊べると思ったのに。
心配かけてごめんなさい。本当に悪いと思ってる。
……けど、ぼくはまたカラカルたちと旅がしたかったんだよ。だから二人をここに呼び寄せたんじゃないか。ようやく会えて、本当に嬉しかったのに、どうしてぼくの話を聞いてくれないんだよ。
目が覚めたばかりで、一人で歩き回って不安になった時、カラカルがぼくの手を引いて助けてくれたこと、本当に心強かったんだよ。
旅ではずっと頼りっぱなしだったけど、ぼくの考えた遊びなんかでも二人は喜んでくれて、とても嬉しかったんだ。
ぼくには、けものの力も、速さも、空飛ぶ羽も、何もないから、せめてみんなと一緒に楽しいことを出来ないか、ずっと考えてきたんだ。
カラカル達はいつだって全力で遊んでくれた。それが嬉しくて、ぼくでもみんなを楽しませられることが、自信になったんだ。独りぼっちではここまで来れなかった。本当に楽しかったんだよ、カラカル、サーバル。
あの子達にさらわれた時は、心細くて、すぐにでも助けて欲しかった。三人を振り払って、カラカル達に会いに行きたかった。
でもね、イエイヌさんだって、悪い子じゃ無かった。独りぼっちが寂しくて、ただヒトに会いたがってただけなんだ。サーバルやカラカルだって、きっとイエイヌさんと会えばお友達になれる。みんなで一緒になって遊べたら、きっと楽しいだろうって、そう思ったんだよ。
カラカルやサーバルと初めて会った時、優しくしてくれたこと、ぼくはとても嬉しかった。だからぼくも、誰かが困ってたり、悲しんでたりしたら、君たちがそうしてくれたように、そばに行って優しくしてあげたいと思ったんだ。
どうしてそんなこと言うんだよ。ぼくとの旅は本当はイヤイヤやってた事だって言うの。ぼくは本当に楽しかったんだ。どこにあるかも解らないおうちより、今カラカルやサーバルたちと一緒に居るのが楽しかったんだ。
もう独りぼっちはイヤなんだ。話を聞いてよ。ぼくを置いていかないでないでよ。
……カラカルなんて嫌いだ。勝手にしなよ。
大切な友達だと思ってたのに。一緒の旅も、沢山遊んだ思い出も、ぼくの大事な宝物なのに。それを置き去りにして遠くへ帰ろうとするカラカルなんて、ぼくは大嫌いだ。
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