#5 日没・イエイヌの本音

 二人は戻ってきました。私には歯の立たなかったビーストも、二人の力で押さえ込み、撃退することが出来ました。この二人ならキュルルさんを守れます。


 ……本当は、せっかく会えたヒトであるキュルルさんと離ればなれになんてなりたくはありません。久しぶりにヒトと出会い、一緒に遊んだこの思い出は、私にとっての宝物です。これからも忘れることはないでしょう。私たちはきっと上手くやっていけるに違いない。そう、今でも思っています。

 でも、戻ってきたサーバルさんの無事を喜ぶキュルルさんの姿を見て、ようやく目が覚めました。


 ごめんなさい、キュルルさん。二人をあなたから引き離して。

 ごめんなさい、カラカルさん、サーバルさん。大切な友達を奪おうとして。

 大切な人に置いて行かれることの辛さは解かっていたのに、寂しくて、ただ寂しくて。私は、同じ悲しみを押しつけて、皆を傷つけてしまいました。キュルルさんは、キュルルさんのいるべき場所に帰るべきなんです。


 それに、サーバルさんとキュルルさんを見ていて、私は「思い出して」しまいました。共に過ごした日々と「彼ら」のことを 。キュルルさんの笑顔を見て「望んで」しまいました。「彼ら」の声、温もり、笑顔が、この一帯に戻ってくるその日のことを。

 どれほどの時が経っても、私は決して忘れない。私はその願いを捨てたくない。いつかまた、きっと、私が「彼ら」と出会うために。それは私に課せられた使命であり、希望――。


 だから、キュルルさん、最後にひとつ、あなたにお願いしても良いですか。

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