#6 日没・キュルルの本音

 イエイヌさん――。その道はきっと、とても険しく、辛い道だよ。


 海獣園でイルカさんたちに渡す絵をお絵かきしている時、ぼくは思い出したんだ。このパークには沢山のヒトがいた事を。

 ぼく達は、旅の中でかばんさん以外のヒトを一人も見ていない。建物はボロボロ、公園は跡形もなく、ステージは海に沈んでて、そんな状況を誰も直したりしていないんだ。これを直すヒトはもう、きっとこの広いパークの、どこを探しても居ないんだよ。

 ぼくたち三人は、徐々に進むペースを遅くしていった。楽しい旅を終わらせたくない気持ちもあった。けど、何よりぼくの「おうち」は、ぼくを迎えてくれる暖かいヒトは、きっともう――


 ……イエイヌさんはとても賢いから、解かっているんだろうね。でももし君が、その「おうち」にヒトが帰ってくることを信じているのなら、ぼくも一緒に信じるよ。ぼくが、ぼくの「おうち」に帰れることを。

 ……ありがとうイエイヌさん、前に進む勇気をくれて。

 

「おうちにおかえり」

「あ……あぁ……!!ありがとう!!」


 さようならイエイヌさん。ぼくも頑張っておうちに帰るから。きっと必ず、ヒトを見つけるから。

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