#6 日没・キュルルの本音
イエイヌさん――。その道はきっと、とても険しく、辛い道だよ。
海獣園でイルカさんたちに渡す絵をお絵かきしている時、ぼくは思い出したんだ。このパークには沢山のヒトがいた事を。
ぼく達は、旅の中でかばんさん以外のヒトを一人も見ていない。建物はボロボロ、公園は跡形もなく、ステージは海に沈んでて、そんな状況を誰も直したりしていないんだ。これを直すヒトはもう、きっとこの広いパークの、どこを探しても居ないんだよ。
ぼくたち三人は、徐々に進むペースを遅くしていった。楽しい旅を終わらせたくない気持ちもあった。けど、何よりぼくの「おうち」は、ぼくを迎えてくれる暖かいヒトは、きっともう――
……イエイヌさんはとても賢いから、解かっているんだろうね。でももし君が、その「おうち」にヒトが帰ってくることを信じているのなら、ぼくも一緒に信じるよ。ぼくが、ぼくの「おうち」に帰れることを。
……ありがとうイエイヌさん、前に進む勇気をくれて。
「おうちにおかえり」
「あ……あぁ……!!ありがとう!!」
さようならイエイヌさん。ぼくも頑張っておうちに帰るから。きっと必ず、ヒトを見つけるから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます