鉢別れ枝別れ

 よくある泣き上戸同床ものかと思いきや、作品の巧みな仕かけに引っかかった。一つの宝石を違う角度から眺め直したような心境だ。特に、『真相』を知った直後の彼女の行動を主人公が回想・推察する下りが実に良い。作者一流の構成の妙といえよう。