地球が太陽と月の間に入るとそれが起こる。皆既月食でも月は赤く染まって見える。 主人公の気持ちは、社会通念……偏見や拒絶への恐れといってもよいが……に隠され、その癖完全に消え入ることもできずに赤く染まった。そんな主人公を彼女は辛抱強く待ち続けた。彼女は主人公にとって太陽のごとき存在であった。結末がどうなるかは是非本作を読んで欲しい。
想い人が告白の練習台になるという、もどかしいシチュエーションに、思いを募らせ、葛藤する主人公の姿! 実に美しく……本当に、星三つでは足らない尊さで、堪らなかったです。 文章も、とても巧く、スラスラと脳内に情景が浮かぶのが、何とも心地よかったです。月見草の花言葉の件など、思わず唸ってしまいました。 ありきたりではない、いい意味で、お手本のような百合小説でございました。この作品、いつまでも眺めていたいものです。
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