一墨

「The Sneaker」’97年4月号の投稿小説コーナーに掲載された作品です。当時とペンネームは違いますが本人です。

■あらすじ
大景国が滅び蔡国に支配された国土を、官を辞して旅する李統の物語。禮州で名産の墨作りを取材するため臨清県を訪れるが、新たな州刺史 曹希真が墨工房に発注をかけるため県令を送る。曹希真の思惑とその裏に隠された不正を看破した李統は、工房のために一計を案じる。

■登場人物
李統……字は伯瞳。大景では歴史を記す史官の長を務めていたが、今は官を辞して文芸志編纂のために取材の旅をしている。
高貞琳……臨清で墨工房を率いる高家の娘。墨職人としてはまだ見習い。
曹希真……大景の臣で元霍州刺史だったが、支配者の交代と共に蔡に仕える。辺境である禮州へ飛ばされたと思っている。
県令……貞琳の祖父で、臨清県の県令。