約46000字にギッチギチに圧縮されたセカイ系オカルト人型ロボの魅力

 目も眩むような勢いで乱打されまくるキリスト教的奇跡や聖遺物・聖人・伝承とロボットアクションSF要素の組み合わせワードが凄まじい。
 聖なる戦術核ミサイル、人工聖杯ジェネレーター、クローン培養不朽体ミサイル、etc……これちょっとやばいんじゃないのというワードが立て続けに機関砲の如く発射されてくる、これだけでも割とぶっ飛んだ作品です。

 しかしてそうしたパワフルダイナミックなワードのインパクトだけに留まらず、ロボット作品としてのバランスもしっかり取れており、異様な熱量のこもった作品でありながらすんでのところで崩壊せず作品として危ういバランスで、その危うさが魅力的な仕上がりとして立っているのは凄いんではないでしょうか。ダイナミックさや勢いがここまで出るだけで印象的だし凄いことに思えますが、それに留まらないバランス感覚というか、技巧も隠れた美点だと思います。

 人物はただただ勢いよく上がるか落ちるか、という心情的主題的動きをしているのですが、これが46000字のセカイ系の中で上手く物語として成立しており、舞台設定、物語の流れともリンクしており面白い。

 とにもかくにも、壮大な言葉とイメージが最初から極大なのにどんどんスケールアップしながら乱舞しまくるというわけのわからない「大スケールの奔流」を一機読みして味わって欲しい作品。

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