与えられた人生を幸福に彩る責任


この物語の一番好きな点は、主人公が自分の不幸を嘆かないところだ。かわりに怒る。

怒りを表明するのは、ときとして、幼稚で、惨めなことのようにとられるかもしれない。「あの人、あんなことくらいで怒ってるよ」なんて、陰口を言われてしまうかもしれない。そんな社会で多かれ少なかれ、怒ることを恐れている人が多いような気がする。

でも怒りという気持ちはとてもストレートで、だからこそ人々が共感できる道具であるはずだ。

主人公は怒っている。与えられた人生を幸福に彩ることを強いられ、がなっている。私たちはそんな主人公の姿を見て共感し、怒りを手に入れる。怒りは推進力だ。主人公が新たな道に進み始めたように、私たちを違う世界に連れ出してくれるだろう。

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