ハイクオリティなミステリー短編集

とても濃密なミステリー短編集でした。
各話は独立しており、共通する登場人物はタイトルにも出ている森村蒼という刑事のみ。
それぞれが非常に高品質で、創元推理文庫を読んでいるような感覚(伝われ……)になりました。

四話が収録されているのですが、私のオススメは『死者の祈り、あるいは呪い』『神尾文彦の追跡』『オーバーライト』『野良犬の喰うところ』です。つまり全部です。最初から最後まで、余すところなく楽しめます。

なるほど、そういうことだったのか……という解決編のあとに控える驚愕の真実。これがまた素晴らしいのです。
うわ……そうくるのか……。と、気づかなかったことがものすごく悔しくなります。

それが突然出てきた事実や知らされていない設定などであれば、まだ文句のつけようはあるのですが、伏線もしっかり散りばめられていて、読者に手がかりは与えられているものだから、もう敗けを認めるしかありません。
最終話の『野良犬の喰うところ』なんてあの台詞にバリバリ違和感あったのに!くやしい!

あまりネタバレしたくないので、細かい部分までレビューに書けないのが残念なのですが、米澤穂信さんが好きな人は、おそらくこの作品も楽しめるはずです。

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