何人であれ、時代という大きな力には成す術がない。

真野てん渾身のハイファンタジー。
文明の原動力が胡散臭い魔法から計算と技術である科学に移り変わる時代。それに飲み込まれようとし、また抗おうとする人々の姿を悠久の時を生きる魔女メイルゥの視点から語るというスタイル。
敵は時代とあるが、時代と戦っているのは同時代の人々、イコールメイルゥ以外の人物全員。その姿は現代に生きる我々の姿と重ねることが出来る。だから異世界ものなのに妙に親近感が登場人物たちにわくであろう。
派手な戦闘シーンとかもあるが、この物語の一番の売りはやはり時代に翻弄される人々の群像であろう。読者よ、身構えて読むべし。さもなくば中盤、作者に殺意が沸くであろう(なぞ)。

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