10

 相方に倣ってこの話のオチを言わせてもらおう。


 松方が僕との約束を果たしたのは、クリスマス会のレクリエーションがすべて終わった後だった。松方はスタッフに引き連れられて部屋に戻る老人たちの一人を呼び止めこう言った。


「これが約束の女性だよ。名前はトメさんだ」


 僕は怒るよりも呆れて、思わず苦笑していた。そして心の中でそっと呟く。


 どうやら自分はババを引かされたらしい、と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ババ抜き 戸松秋茄子 @Tomatsu_A_Tick

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ