毒吐き……のはずが、気がつくと心を洗われていました。

毒があるからと、作者に読むのを止められたエッセイです。
忠告を聞かずに読んでしまいました。

確かに、ここで語られるのは作者ご自身のつらい経験の数々。私にはまるでドラマのように感じられる内容でした。

それなのに、嫌な読後感がないのは何故でしょうか。

恐らく、作品全体を、そして読者をも温かく包み込んでくれるような、ご本人のお人柄を感じることができるからです。
愛のない経験を繰り返し受けながらも、愛を求め、また与えることを忘れなかったことが、読んでいて何度も伝わってきます。

こんな大人になりたいと、(私ももう十分に大人ですが)憧れに似た気持ちで読了しました。

時にユーモアも交え、文章を通して伝わってくる作者の温かさは、このエッセイからも、他の作品でも感じることができます。
少し疲れたとき、心洗われたい時に、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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