なおしたいものは何ですか?

主人公みどりの自嘲的で乾いたナレーションと、半ば夢うつつのような感覚で展開してゆくストーリー。現実と非現実のはざまで交わされるような登場人物たちの会話。
物語の持つこの不思議な空気感に読者はきっと引き込まれることでしょう。
 
リメイクショップに訪れる3人の客と、彼らの語る依頼のいきさつ。それは人生の深淵を感じさせるエピソードばかりですが、実はそこにも巧妙に張り巡らされた伏線があるのです。
そして客の正体が明かされるにつれ、依頼の真実が明らかになってゆきます。

ラストにかけて解き明かされる謎と、そこへ導く構成の素晴らしさはさすがとしか言いようがありません。
 
読み終わったとき、タイトルの「リメイク」という言葉が沁みてきます。

極上のミステリーであり、ファンタジー。
そして大人のヒューマンドラマです。

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