リメイク

星都ハナス

第1話 病院

 目が覚めると、病院のベッドの上だった。

 目が覚める前から、私はかぎなれた消毒液の匂いと、硬いマットの感覚で、病院である事が分かっていた。

 右腕には針が刺され、点滴を打たれている事も分かる。体を動かすとヒリリと痛い。  

 (交通事故かな?骨折してるのかな?)

 私は、全身にまかれているであろう包帯を取ろうとして、かろうじて動く左手を近づけ、ゆっくり目を開けた。

「イチゴのショートケーキみたい」


 包帯の赤く染まっているところをそんな風に眺めた。私は幼い頃から、悪い状況になると、現実逃避をしたくて、物事を明るくとらえようとした癖がある。生き抜く知恵だ。


「真坂さん、麻酔が切れたのね」

 女の人の甲高い声がした。すぐに男の人が部屋に駆け込んで来るのも分かった。

「真坂さん、あなたは全身火傷でこの病院に搬送されました。命に別状はありませんが、しばらく入院が必要です」

 担当医だと名乗る男の人が、淡々と説明していく。思い出そうとしても、全く思い出さない。ただ、全身が痛い。


「私は何処で火事にあったのですか?そばに人はいたのですか?誰が通報して救急車を呼んでくれたの?」

 頭が混乱して、だんだんと声が大きくなるのも自分で分かった。その自分の甲高い声で、オーナーに叫んでいる自分を思い出した。

「オーナーは?オーナーは無事なんですか?」

尋常ではない私をナースが落ち着かせようとして、手首を掴む。

 腕にチクッと痛みが走り、私はまた深い眠りに入った。

 

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