月のかけらが救ったのは、壊れかけた幼子の心と、見守り続けたひとつの想い

 事故で兄夫婦が亡くなり、軍を辞して実家の伯爵家を継いだ主人公。
 心を閉ざした幼い甥のために、ある男爵の未亡人を子守りとして迎えることにしたのだが、訪ねてきた女性は、あまりにも予想外で……。

 幼い甥が、自分を責め続ける姿は痛々しい。その様子を見護る主人公も、手を拱くしかなかったのだろう。
 その停滞していた時間を、困惑したふたりを、見つめ続ける周囲を、ヒロインの暖かい思いやりが優しく包み込んでいく。
 少しずつ、状況が、良い方向へと動きだす。

 そして、幼い甥に表情が戻り始めた頃、主人公の胸の内に、ある想いが灯り始める。その想いは、次第に大きく明確になっていく。
 主人公が、意を決して伝えた想いは、ヒロインに届くのか……。
 そこに、ハッピーエンドが待っていることを、わたしは望みたい……。その結末を、ご自身の目で確かめていただくことを、お薦めしたい……。

 素敵な恋愛小説です……。