責任感の所在

 『普通の世界なら未熟は恥じる事ではない……だが、俺達の世界では、未熟な者に、“いつか”は、決して訪れない』……『ゴルゴ13(さいとう・たかお、リイド社、敬称略)』でデューク東郷が語った台詞を、本作の主人公ならどう受け止めるのか実に興味深い。
 お断りしておくが、私は本作の主人公を非難するつもりは毛頭ない。いわんや本作が未熟だなどと考えているのでも一切ない。
 なんとなれば、主人公他一同は立派に生き延びて使命を果たし続けているからだ。
 悪の組織との対決はお遊びでもおふざけでもない。毎日が命そのものをすり減らす真剣勝負であり、それは読んでいてひしひし伝わった。
 登場人物一同の心理が懇切丁寧に描かれる本作、作者は一人一人の人間らしさ人間臭さと、筋の展開において必然的に要求される冷酷さに葛藤し続けていることだろう。この先メンバーがどうなるのか注目したい。
 最後は、プロ意識について、やはりデューク東郷の名言で締めくくろう。
 『10パーセントの才能と20パーセントの努力……そして、30パーセントの臆病さ……残る40パーセントは……“運”だろう……な……』

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