九〇〇〇字弱の短編にみる恋愛のオリジナリティ。

 憧れの藤咲冬羽さんに勇気をもってラブレターを手渡す新堂くん。けれど、そのラブレターの内容にダメだしされてしまうところから物語ははじまります。

 ダメだし、それはもう一度、ラブレターを送るチャンスがあるということ。そして、ダメだしとして突き付けられたのはタイトルでもあるオリジナリティ。

 ラブレターにおけるオリジナリティ? 恋愛におけるオリジナリティ? 新堂くんは、冬羽さんの意図がわからずしながらもふたたびラブレターを書きはじめます。

 恋をするとはどういうことか、目の前にいる愛しの相手の「愛しい」という気持ちはどこから生まれたのか、愛しいはずの彼女のことを本当に「知って」いるのか。

 恋愛の恋と愛、そのふたつの意味と、恋する人が愛する人へとかわり、それを口にできるタイミングについて考えさせられます。

 そして、そのさきにある衝撃の真実。

 新堂くんが冬羽さんをとおして芽生えた、オリジナリティという名の結末の先もまた観てみたいと感じました。