大会に向け困難を克服していく、尻上がりの物語

離島の闘牛もの。といっても因習ドロドロ方面でも、アジア版ボルヘスみたいなマジックリアリズム方面でもない。一読、すごくさっぱりした爽やかな感覚がある。

理由のひとつは、主要登場人物が若く、青春小説であることだろう。闘牛は部活の対外試合くらいの書かれ方なので(実際、生物部の牛を使ってるし)、題材から「血なまぐさいかも」と敬遠していた方は、安心していい。

青春らしく、キャラが自分のネガティブな部分に軽く向き合ったりもするが、立ち塞がる一部のキャラ以外は、みんな割といい人。生きる死ぬ家族離散といったレベルの人生の危機は今の所ないので、こちらも安心だ。

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