エピローグ
名君と呼ばれ民に慕われた王 玲真にはかつて異色の経歴で召上げた妃が一人いた。
妃の名前は 李 琳明。
庶民の出にも関わらず彼女は13歳の時ではなく16歳の時に後宮に召し上げられた。王都では珍しい銀色の美しい髪を持った妃だった。
彼女が妃として後宮にいたのはわずか一年。
後宮に召し上げられたにも関わらず、たった一年で後宮を去る妃は多い。妃として、長く後宮にとどまっていたとしても、子を産まない限り名が人知れず忘れ去られることが多い。
そんな中で、たった一年で後宮を去ったにも関わらず琳明の名が残ったのはなぜなのかというと、彼女が女ながらにして有能な薬師だったこととが関係していると言われている。王によって家臣の一人に褒美として下賜されたにも関わらず、その後も他の妃とは違い琳明との後宮と王の縁は潰えなかったからだ。
後宮は恐ろしいところだ、どれほどの名君が国を治めていても世の中には不満に思う輩が必ず現れるし。王に自分の娘を妃にと望むやからも際限なく出てくる。
後宮には美しい顔をしたやからが幾度となく厄介事を持ちこんだそうだ。
その時に詳細は明らかにされていないが、李 琳明が後宮を妃としての立場を終え出たにも関わらず、立場を変え後宮へと入り厄介事をいくつも解決したというのだから以下に異例なことだったかわかるだろう。
なぜ、今そんなかつての名君の一妃である琳明の名が巷で出てきているかというと。
琳明と同じ見事な銀髪で気の強くしたたかなまさに『あの琳明』の生き写しと呼ばれる者が琳明が亡くなってから産まれ年頃の娘に育ってしまったのだ。
銀の髪に商魂たくましく気の強い娘が16歳の時に事件は起こった、とっくに亡くなった『お前の先祖の琳明と話が付いているからお前は後宮に入らねばならない』とお達しが来たからさぁ大変。 でも、それはまた別のお話……。
後宮の下賜姫様 四宮あか @xoxo817
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます