この国では、人間と精霊が契約を結ぶことがある。
かつては、炎の精霊のもとにも大勢の魔法使いが訪れていた。
しかしそのお眼鏡に適う者は誰一人おらず、いつしか魔法使いたちは諦めた。
そうして誰も来なくなってから、長い年月が過ぎた。
「ケーキを焼きたいんです。貴方の力を貸してください!」
「意味が分からん、帰れ」
ケーキ、もとい前世の記憶を取り戻した令嬢レミア。
しかしこの世界にはケーキがない。
「これも全てケーキを焼くため。
一回断られたくらいで諦めるわけにはいきません、すなわち三顧の礼です!」
セルシウスもグラムも無塩バターもない世界で、レミアはケーキを焼くことが出来るのか――。
「あ、そうだ。精霊さんのこと、なんてお呼びすればいいですか?」
「それすら知らずに来たのか、お前は……」
頭にはケーキしかないケーキ頭の令嬢と、炎の精霊なのに氷のように態度が冷たいロティのケーキ作りやいかに!
これは、『誰かを幸せにしたい』と、忘れてしまった夢を叶える物語。
一度は前世の世界で思い留まった夢。
前世の記憶のなかで、どうしてもなりたかったあの夢。
それを思い出した少女レミアちゃんは、『ケーキ』を焼くための火を手に入れるため、炎の精霊の元を訪れる。
何度、断っられたってあきらめない!
だって、この世界。
魔法あるのに、精霊いるのに~~ケーキがないんだもん(/・ω・)/がおおおおお
「ケーキを食べると、みんなが幸せになれるんです!」
「新手の宗教勧誘か( ゚Д゚)!」←ある意味間違っていない笑
こんな感じで煙たがられる勧誘。
果たして、彼女は炎の精霊を口説き落とし念願のケーキを食べれるのか!?
そして、ケーキ屋さんを開くことができるのかああああ!?
―――はい、開けました(*´▽`*)←ネタばれ?
そこから始まる、素敵な異世界ケーキ屋物語!
今日も彼女は相方の精霊と一緒に、異世界で前世の甘味、ケーキを焼くのです!
とにかくケーキが美味しそうです!
読書してると、無性に、無性に……、ケーキ屋さんに駆け込みたくなります!
甘味は正義!
ふわふわスポンジ、あま〜くとろける生クリーム。
しかーし! この世界にはケーキが存在しない! オーブンも存在しないのである!
火加減が……。調整できないと、どうしてもスポンジケーキを作るのは無理である。
どうしてもケーキを作りたい主人公の戦いがはじまる!
火の精霊さーん! 力を貸して! ケーキを作りたいのです。
「なんだそれは! 帰れ!」
にべもなく断る火の精霊であった……。
ツンツンの火の精霊と、主人公の少女、レミアのかけあいが楽しく、レミアの、ほわんとした雰囲気も、とっても可愛いです。
ほのぼのと読める、スウィーツファンタジー、ぜひ、ご一読を!
ある日、レミアは前世の記憶を思い出す。
それは、ケーキの存在する世界。だけど、レミアが今いる世界には、ケーキが存在せず、けーきうくりに必要なものもない。
それでも、おいしいケーキを焼きたいレミア。そんな彼女は、ケーキを焼くための絶妙な火加減を実現するため、炎の精霊のもとを訪れるのだが……
青年のすがたをした炎の精霊がクールでとってもカッコイイです!
主人公のレミアは、がんばり屋でちょっと抜けてるところがある可愛い女の子。
凸凹コンビな二人がケーキ作りに奮闘するすがたが楽しいファンタジー小説です!
ケーキ作りをがんばるレミアのすがたが、ほほえましいです。しかも、ちょっと抜けてるところがあって、そこが可愛さをより引き立ててます!
炎の精霊のロティも、悪態をつくこともあるけど、そんな彼女を放っておけないみたいです。なので、彼がそういう素振りをみせるたび、キュンキュンしました!
ケーキも、主人公と炎の妖精の関係も、どちらも甘い異世界ファンタジーです☆
掴みがとても清々しい作品でした!
一筋縄では籠絡することができない精霊。自分なりのアピールで精霊の興味を引こうとする主人公。
導入直後でありながら、この関係性がすでに微笑ましいと感じられるのは描写と掛け合いがお互いを高め合う相乗効果の現れではないかと・・・!
個人的に主人公が自分の気持ちに素直に真っすぐ突き進んでくれる底なしのポジティブさに魅力を感じていることもおおいに関係していそうですが!
さくさくと進むような展開ではありません。
むしろ全力の手探りから始まる物語なのですが、むしろそれがいいです。
世界を揺るがす大きな力・・・ではありません。
ケーキに捧げる情熱。その情熱を実現するための大きな一歩がとても魅力的に描かれており、なかなか進まずとも少しずつ解けていく快感を読み手に与えてくれました!
そんな異世界のケーキ屋さん。みなさんも一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか?