公爵令嬢は占いがお好き。
イラストを担当してくださったSNCさんから発売記念お祝いイラストをいただきました。
しかもカラーイラストなのです( ゚д゚)ハッ!
とてもとてもとてーーーーも素敵なので皆様にもおすそ分け(*´▽`*)
仕事が落ち着く午後。
太陽の光がたっぷりと当たるマクミラン公爵邸のバルコニーで、セバスは腕が落ちないように人の姿から猫の姿へと変わり、猫の姿でしばらくの時間を過ごす。
あくまで猫の姿をとっているだけで、その中身は人間のため猫らしい不自然ではない動きをするためには、よほどの猫好きの変態でない限りたゆまぬ猫らしい動き、猫らしい仕草の努力が必要なのである。
ぽかぽかとした陽気にセバスはうっとりと目を細めて、あえてバルコニーの狭い手すりの上にぴょんと飛び乗ると、今日はこの不安定な場所でしばらく日の光を浴びていようと思ったのだけれど……。
「セバス!」
仕えているティアお嬢様に呼ばれて、セバスは何事かと首だけ呼ばれたほうに向けた。
「あーよかった。ここにいたのね」
そういうと、こちらの承諾も聞かずひょいっと抱えられてしまう。
「何かありましたか?」
この姿では極力猫のように鳴くことしかしないのに、ただならぬ様子に何があったのかとセバスは聞き返した。
「ちょっとしばらく抱っこされてて!」
抱っこされててとか言われてもと思うけれども、セバスはまぁ、いいですよと押し黙った。
するとティアお嬢様から遅れること三分ほどで、婚約者になられたノア様が現れたのである。
あー。
セバスは察した。
ティアお嬢様の瞳は特別だ。
物事のウソと真実を見抜くその瞳は、否が応でもお嬢様に話していることが心から思っていることなのか、心にもないことなのかを見せつけるのである。
これまで護衛として何度かこのように抱えられて殿方のいる場にご一緒したことはあるし。
こちらがきいててしんどくなるような愛の言葉を紡ぐ人間もいたけれど、ティアお嬢様の心が揺らぐことはなかった。
おそらくその瞳には、その場を取りつくように紡がれた言葉の真実が嫌でも見えてしまったいたのだろうが……。
「ティアこんなところにいたんだね。しばらく会えなくて寂しかったよ」
「朝も顔を合わせたじゃない!? それよりも、ヴィスコッティ公爵家に呼び出されていたんじゃなかったの?」
「あ~、くだらないことだったから帰って来た。そんなことより」
「そんなこと!?」
こちらが聞いていてハラハラする内容だった。
ヴィスコッティ公爵家からの呼び出しをそんなことという一言で片づけてしまっている、お嬢様の婚約者は。
ペラペラとこれまでの男たちのように愛を紡ぎ出す。
ただ抱っこされている私はふっと思う。
この人私がセバスだとわかっていてもお構いなしに自分のしたいこと、言いたいことをやり続ける人だと。
おそらくお嬢様は、私という第三者がいることで言動がましになるだろうと思い抱えているのだと思うが。
その言葉が止むことはない。
「わかった、わかったから。それにこの猫普通の猫じゃなくて……」
「セバスだろう? 猫が愛でたいなら、私に言えばいいのに。どうして私じゃなくてセバスなのかについてもじっくりと話をしたいところだね」
知ってらしたんだ!? と驚くと同時に、お嬢様はちゃんと乞われた相手と結婚出来たらいいなとは思っていたけれど。
なんていうかこの圧に似た比率でぐいぐい来るのはいいのだろうかなどと頭をかすめたけれども。
後何年続けることができるだろうかと思っていた加護という稀有な能力をお持ちのお嬢様の身の安全だけは、とりあえずノア様に任せていたら大丈夫そうだしなぁなどと、ぽかぽかとした陽気に当てられながらセバスは思った。