美しいと感じた――では何を美しいと感じたのだろうか?

自分の発明した薬を奪われ、失意のままに死んだように生活をしているシュー教授。

そこに丸本というセールスマンが不可思議な男を連れてくる。名はソレイユ。

課せられた命令は絶対に守る、お世話用のロボット。

シュー教授とソレイユの交流と、その未来が描かれるSFチックな世界観のドラマである。

ソレイユは守り続ける。ロボットであるからこそ、人間よりも長く存在することができる。それでも、ソレイユは守り続ける。シュー教授との約束を。

もう一つ重要なアイテムとして、不老抗寿の薬がでてくる。年も取らずに命に限りをなくさせる。永遠を夢見た人間たちの泡沫の結果。

それが現実となった。

永遠が現実となったり、ロボットの進歩が進めば、おそらくこうなるだろうといった未来を想像させるお話。

命令を守るだけのソレイユの住む森は、まるで世界の終着点の様である。経済体系も、面倒くさい関係も存在しない。ただ約束のみに縛られた世界。これが終わりでなくてなんなのだろうか。

それを絆と呼ぶか、プログラムと呼ぶかは、解釈次第。

そういった一つの約束事を守り続ける。

ただそれだけのことに、心を感じるのだとしたら、きっとそれは美しいものなのだろう。

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