胸、張り裂ける想い
ツヨシ
第1話
実は私の部屋の窓から外を見ると、トイレが見えます。
と、言いますと皆さん「こいつはいったい何を言っているんだ?」と思われることでしょう。
ですから少しばかりの説明をしたいと思います。
私は現在、まわりは田んぼだらけでその先には大きな山が広がるところ、いわゆる田舎の片隅に住んでいます。
古い小さなアパートに。
人口密度が絶望的に低く、住民の平均年齢が高く、古くから住んでいる人がほとんどで交通の便も面も悪いそんなところにアパートとか言う代物が何故あるのか私は知りませんが、とにかくあるのです。
そして女子大からもけっこう遠いそのアパートに、若い女性がどうして住居しているのかと聞かれるならば、私は「家賃がとにかく安いから」と答えるでしょう。
足に関しては、燃費がとてもいい原付があるので問題はありません。
で、このアパートは二階と言うものが存在しない平屋で、四部屋しかありませんが、そのうちの三部屋は空いています。
つまりここに住んでいるのは私一人だけと言うことになります。
そしてその私の部屋からは、なんと児童公園が見えるのです。
住民の大半がジジババではないかと思われるこのような場所に。
近所で子供を見かけるということは極めてまれで、現に私はこの地に一年以上住んでいますが、このあたりでは一つしかないはずのこの児童公園で子供が遊んでいる姿を見かけたのは、一度きりです。
小学校低学年に見える男の子が、短い間ですが一人で遊んでいました。
それでは子供が遊ばないからと言ってお年寄りはどうかと言うと、公園はとても小さい上に、その中には地肌のほとんどが灰色のコンクリートになってしまっている前世はおそらくパンダであったのだろうと思われるものをふくめて、遊具がいくつも置かれています。
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