イチョウとアサダ

 イチョウとアサダ


あせりはしません。ちましょう」

 かわいたつちのうえで、あたたかそうなふくおんないました。

 めるまえにはなしあいをするとつたえて、まちにはいらずにっています。相手あいてはだれになるのでしょうか。

 いちばんえらいひとが、まちにはいません。

 みんなよくにたかんがえかただからです。ケンカにならないのは、いたくなることを予想よそうしてやめるからでしょう。

 たくさんのひとびとは、だれをはなしあいにだすかをなやみませんでした。

 すべてのほんんでいるのはひとりです。

「ぼくでいいの?」

「いい!」

「たのむね」

仕方しかたないから、ゆずってあげるわ」


 とぎれたみちのまえに、おとこがやってきました。

 ちかくにおおぜいのひとはいません。まちのなかとそとで、えがおのふたりがむきあいました。

 アサダはていねいなはなしかたをらないので、ふだんどおりにいます。

「こんにちは。まちまでるのは大変たいへんだったでしょう」

ふね使つかえば造作ぞうさもないことです」

 アサダよりとしうえのおんなは、むずかしい言葉ことばをつかいました。

 造作ぞうさもないというのは、めんどうではないということで、かんたんという意味いみです。

ふね? ほんでなまえしかたことないなあ」

「やはり、なが時間じかん知識ちしきをつくりだしたようですね」

 おんなはくろいふくをきています。がっこうの制服せいふくだということを、おとこりません。

知識ちしきといえば、なまえが必要ひつようだね。ぼくはアサダ」

数字すうじ使つかわないなら、わたしはイチョウです」

 みじかめなのに、みみのちかくをすこしのばしているイチョウのかみがたは、まちのだれともちがいます。

「イチョウたちとたたかうと、ほとんどのひとがうごけなくなるね」

理由りゆうはなんですか?」

武器ぶきふせぐことができないから、どっちもこわれるよ」

「なるほど。わたし見立みたてとおなじです」

 ロボットたちは、たたかうまえからひきわけがきまっていました。

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