みずのこと

 みずのこと


「なんで、そんなにほんむのだ」

 ネズコが、からだをうごかしながらきました。ながいかみがゆれます。

 ずらりと本棚ほんだながならぶへやには、つくえもいすもありません。ってほんんでいます。

「ぼくは、むかしなにがあったのかりたい」

 アサダは、おんな図書館としょかんでさわぐことを注意ちゅういしません。ルールをしらないのでしょう。

 きろくがなくて、いろいろとわからないことがあるようです。

「ふーん」

「なんで、いまがあるのか」

 おとこがとりだしたのは、自動車じどうしゃがかいてあるほんです。

 ロボットたちは、はしっているくるまたことがありません。

「それがあったらまちからていくだろ? かえってこないのはイヤだ」

「いかないよ。そとではまわりがえにくくなるからね」

 やっぱり、しんぱいするネズコに、アサダはやさしい言葉ことばをかけませんでした。


 ひるになりました。

 人間にんげんならおなかがなっているかもしれません。でも、ロボットたちはげんきそうにみちをあるいています。

 まうえからではなく、すこしみなみのほうからさしこむひかりが、みどりのおおい公園こうえんをてらしています。アサダとネズコがたいそうをしていました。

筋肉きんにくをきたえる必要ひつようがないのに、汗水あせみずたらすようなことをするなんて」

 ふまんそうなアサダが、うごきをとめました。

汗水あせみずって? あつくてとけそうってこと?」

 ネズコがしらないのはあたりまえです。ロボットたちはみずがいりません。

みず蒸発じょうはつするときにねつをもっていかせてからだやす。それがあせ

「どうぶつにはそんな機能きのうがあったのか。それで?」

あせをたくさんかくほど頑張がんばっている、ってことだよ」

 アサダのあしがうごいて、ネズコがちかよります。ならんであるきはじめました。

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