よるとメルサワ

 よるとメルサワ


 きせつはあきです。

 なのに、はっぱはみどりいろ。あかもきいろも、ちゃいろもありません。

 公園こうえんで、アサダのくちがひらきます。

むかしっぱのいろわっていたらしいね」

「ひつようなのか? それ」

「きれいかもしれない」

 ネズコとミズキは、ちがう意見いけんでした。

 のようにえるロボットのはっぱは、いろをかえません。

 むしのようなロボットも、おおきなおとをだすことはありません。

 ずっとおなじような景色けしきをながめても、どうぶつのかたちをしたロボットが退屈たいくつおもうことはないのです。

 まちでは、へいわなときがすぎていました。


 たいようが西にしへかたむいて、もうすぐよるになります。

 こどもたちが、しろいおおきないえにはいっていきます。

 ゆうやけであかくそまるなか、アサダたち三人さんにんもやってきました。

おそいわ。2びょうおくれています」

 すこしのたかいポニーテールのおんなが、おとこをにらみつけました。

「ごめん。メルサワ、おやすみ」

 玄関げんかんのちかくでよこになったアサダは、ぴくりともうごきません。

 ネズコがそのひだりがわにすべりこみ、ミズキがみぎがわにてしまいました。

 まゆげにちからをいれたメルサワは、なにもいませんでした。よこになるとやわらかそうなかおになって、おだやかな寝顔ねがおになりました。

 四人よにんのほかにも、たくさんのこどもたちがよこになっています。

 ふとんやベッドはどこにもありません。

 じつは、スリープモードになる必要ひつようがないのに、みんなています。

 よるることしかしらないからです。むかしはきまったへやでていたという情報じょうほうを、だれもしりません。


 あさがやってきて、ほとんど同時どうじにこどもたちがをさましました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る