12月の天国

千のエーテル

opening Dive01

ある時誰かが言った。

自殺は負けであり逃げることだと。


どんな理由であれ世界から逃げたのだから、それはその人間が悪であり、その人間が弱いのだと。


本当にそうなのだろうか?


僕はそうは思わない。


確信を持って言える。


悪なのは


きっと悪なのは


その人間を逃がしてしまった


世界の方なのだと。



たった一人の人間も、掴み続けることすらできなかった世界の方なのだと。

世界が誰も救わずに、この先もただただ傍観を続けるのなら

僕はこの世界に一秒でも存在していたくない。


だから飛べるんだ。


なにも迷わず。


なにも躊躇わず。


なにも失わず。


なにも恐れず。


なにも後悔せず。


飛べるんだ。


まだ先があることを知ったから。

この世界がヒビの入った鏡の世界であることを知ったから。



僕は簡単にサヨナラを言うことができる。

この誰も救えない、救いようのない世界に、僕ははっきりサヨナラと言える。






僕にサヨナラも言わずに先に飛べてしまった彼女に、もう一度会うために……

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