エピローグ
夜の住宅街を
月色は雲にかくれて
地上に
霧のなかには、
まるで、生者と死者が
今、街灯のひとつが
「……」
そこに先程までなかった人影が立っている。
黒ずくめの影だ。
頭部はつるりとした卵型。
いや、あるいはないのか。
その手に
やがて、それは闇のなかに名乗った。
「こちら〈
と。
「
しかし彼は、人の命を刈り取る死神ではない。
『こちら〈
返ってくるのは女のしわがれ声だ。霧のごとく立ちこめる煙は、彼女の
「こ、こちら〈
続いて聞こえてきたのは、うら若い少女の声だった。緊張に
街灯と街灯の間にわだかまった闇の中、彼女は
鎌がないこと以外、その出で立ちは〈
しわがれ声が
『
「おおっ、オーケー……!」
〈
熱線暗視映像においても漆黒の
消える頃には、
「ヒッ……!」
すでに眼前だ。
「……」
〈
ところが大鎌が弧をえがけば、〈
「……!」
異形の体躯が、重力とともに落下する。
その先は〈
しかし彼女は、
〈
〈
フルフェイスメットの奥。
と同時、〈
それは
今、
すかさず
「ギャッ……!」
〈
頭部を
中から現れたのは、
〈
胸のなかに千の
それでも、こんな事を続けているのは〈
自分の
他にできる事なんて何もないからで……。
「お疲れ様」
「あ……」
こんな自分にも、手を
そして大好きな人たちの住む世界を、
いつか彼女は、心もつ〈
この世界には、かつて彼女自身が傷つけ、今なお闇に溺れる親友もいる。
欲張りかもしれないけれど、あの子のことだって助けたい。
どれも過酷な道に違いないけれど。
きっと
「ありがとう――」
〈
ブラック・ドッグ〈了〉
ブラック・ドッグ 笹野にゃん吉 @nyankawa
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