Beautiful Boot !!

 十年以上前の作品を、改めて世に出すということ。言うが易しだが、実行には勇気が要る。それを成し遂げる胆力。敢えて言えば、常人には出来ない覇業である。小説を書く者なら――否、創作に携わる者ならば、過去に出力した創作の巧拙について悩みし時がきっと来る。その時にこの小説の力強さを思い出して欲しい。この小説が成立した背景を臨めば、己が道に迷いし時きっと勇気が貰えると信じている。
 筆者によれば、その時代の小説はキャラ募集という文化を掲示板で成立させたのだという。現代と比較し非常にアナログでありながら、ひとつの小説として成立させるという作業は、あまりにも困難で途方もないと推測できる。そうありながらも、今の時代――キャラクター性に比重を置いた、単純娯楽小説に通用するということに目を見張ることになるだろう。横書きの文化としては地続きであり、そのノウハウはカクヨムという媒体においても活かされている。今後もこの小説が魅せてくれる古き良き技量に期待するばかりである。