巷間で流行りの異世界転生。共通認識化されているテンプレートの世界を上手く活かした、不思議な世界観が本作の舞台である。
仕事熱心な『死者』デュラハンのアレク、頑なに死を望む『人間』の少女ミカ。種族も世界も越えて、二人は互いに心が惹かれあっていき――
登場人物たちはほぼ人外の存在なのだが、誰もが人間らしい暮らしを営んでいる。そのギャップもさることながら、読者との距離がもっとも近しいといえるだろう。
対して死にたがりの少女ミカは、非常に読み解くのが難しい心をしている。人間でありながら、読み手がもっとも理解するのが困難で――だからこそ、アレクと共に彼女の心を分かっていきたいとなるのではないか。それこそが本作の魅力であると私は感じた。
そして、二人の恋路はどうなるのか――もちろん、こちらも注目していきたい要素である。