「かみさまなんていない」孤独な少年と、乾きゆく世界に降り注いだのは。
- ★★★ Excellent!!!
雨のかみさまは白いクジラの姿をしている——。
そんなお伽噺のような語りから始まるのは、過酷すぎる世界。
その世界が元はどんな形を、気候をしていたのか、知るものはいない。
一滴の水すら、食料すら枯渇し奪い合い、生き物全てがただ生きることに必死な世界。乾いて干からびて、心さえも失いそう……そんな世界を優しい文体で見事に表現されています。
その砂塵と残骸だらけの大地を、ある時風変わりな二人が進んでるところから物語は動きます。
二人が出逢ったのは生きることにしがみつき、守るために孤独の中抗う少年。
その時少年が出逢ったのはなんだったのか。
降り注いだものは、巡り合った運命は、かみさまだったのか……それとも希望だったのか。
神話のようで、ファンタジーの映画のようで。もしかしたら遠くないこの世界の未来のお話かもしれない。
不思議で、残酷で、だけど散りばめられた深い優しさの見える物語。
大好きな作品です。ぜひ彼らとこの世界を見聞きし、共に分かち合ってほしい。