これは幼い頃に抱いていた夢を大人の理不尽な行為によって折られた主人公が、大学生になり様々な人と出会って、成長していく物語です。
導入部から引き込まれる文章と物語の展開が素晴らしいのはもちろんのこと、そして何より心に熱い思いを持ちつつも屈折している主人公がとても魅力的なのです。
文芸部のメンバーも、主人公の周りの人達のキャラクター性もとても良く、読んでいくうちにだんだんと好きになってきます。
そして何よりイチオシなのは、ラストの展開!
手を握りしめ感動すること間違いなしです。
最後まで、ぜひ読んでみてください!
こっちまで元気をもらいますよ!
正義のヒーロー、という言葉の響きは、いつか子供っぽく、馬鹿馬鹿しく聞こえるようになってしまうのかもしれない。
でも、だからといってその輝きは失せるわけではないし、無かったことになるわけでもない。
憧れ、そうありたいと願い、動き続ける限り、正義のヒーローは死なないのだと思いました。
作中に繰り返し繰り返し出てくる「正義のヒーロー」は、主人公の夢として、理想として、そして最後にとある形となって現れます。
積み重ねた行動、貫いた信念が実を結ぶそれは、確かな一つの完成形ですらありました。
全て読み終えた人の心の中にも、きっと正義のヒーローが生まれていることでしょう。
幼い頃に「ヒーローになる夢」を打ち砕かれ、その傷にいまだ苛まれる大学生が、それに向き合い、立ち向かい、そして––––、
と、この続きはぜひ本編にて、あなた自身の目で確かめて欲しいのです。
特筆すべきはキャラ個性、そして、対峙すべきラスボスとの因縁。
主人公はごくごく普通の大学生……いや、普通よりは無気力気味の若者であり、感情的に未熟で捻くれた部分があります。
しかしその本質を見抜いている親友が側におり、彼と、うっかり体験入部することになった文芸部の面々に引きずられるように、その「素質」が開花していくことになるのです。
たとえ相手のやり方が「悪手」だとしても、それに対抗する手段が「悪役」であるべきではない。
彼らの信念が花開くラストの展開はまさに、「正義のヒーロー、文芸部」。
非常に読み応えのある作品です。
ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
冒頭から、物語世界にぐいぐいと引き込まれた。
夢を捨ててしまった少年、赤尾の心情描写に胸が痛くなる。
まだ希望を持っていていい年齢だったはずなのに。ひねくれる原因を作った心ない一言に、私も赤尾と同じように衝撃を受けた。
だからこそ、ひねくれた大学生になった赤尾と接する愉快な先輩たちに救われた。どうか昔の輝きを取り戻させてほしいと。そう感じさせるほど、登場人物に感情移入させられた。
ヒーローなんて。正義なんて。
投げやりだった主人公が文芸部で(ただし世間一般で言うところの文芸部とは違います!)成長する様子に、エールを送りたくなるのは私だけだろうか?
青春の失敗と輝きがぎゅっと詰め込まれた現代ドラマは、きっと遠い世界の話じゃない。