エピローグ どこかに行きつくその日まで
右足首は跡形もなく吹っ飛んでしまったけど、ベルトで縛ったまま放置していから痛みが引いたので、何事もなく今日が来た。我ながら馬鹿げた生命力だと思う。
アタシと連れは京都駅のみどりの窓口で切符を買い、改札に向かっている途中だった。いくら治った(?)とは言え、まだ片足歩きに慣れていないから、歩調は遅い。連れはそんなアタシに着かず離れず、常に二歩先ほどキープしていた。
「ヘイベイビー、もう京都旅行はいいのかい」
「いいんだよ」
連れは振り返ってアタシを見ると、天真爛漫な笑みを浮かべた。
「寂と一緒に行きたい場所は、京都だけじゃないからね」
「……やれやれだ」
眼を閉じて、これから行く先のことを考える。想像は、まるで像を結ばない。でも、今はそれでいいのだと思った
どこに行くかは分からない。
だけど、どこかに行き着くその日まで、旅は続くのだと――そう考えると、少しだけワクワクした。
駅のホームに着くと一番線に電車が通過する旨のアナウンスが響いた。
次の瞬間、何もかも連れ去ってしまいそうなほどの猛烈な突風が全身を襲う。
――サヨナラだけが、青春だ。
何事にも、いつか終わりが来る――だけど今はまだ、その時じゃない。
まだまだ旅は、終わらない。
アタシたちの青春は、まだ続く。
サヨナラだけが、青春だ 神崎 ひなた @kannzakihinata
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