どうか、幸せになることに怯えないで。

 事故死した主人公の女性が、付き合っていた彼の日常を綴った一作。つまりこの作品では主人公の存在と言う非日常と、男性の日常が、常に並行して話が進んでいくのだ。とても不思議な感覚の作品だった。
 主人公が彼を見る眼差しは、常に温かい。そして、彼も常に主人公を想いながら生活をしている。それだけで、悲しみの中に、幸せの形が見えてくるようだった。片方が死んでも、お互いの幸せを願っている二人。
 しかし、彼の前に、一人の女性が現れる。
 そして彼は主人公の遺影に、いつもとは違う謝罪の言葉を口にする。

 「――ごめん」

 果たして、二人の幸せは?
 彼が抱えていたもの。主人公が見ないふりをしてきた想い。
 そして、主人公は最後に、何を彼に残すのか。

 是非、御一読下さい。