第3話 2つのスキル
「もう目を開けても良いぞ」
ミラの声がする。眩い光を受け、咄嗟に閉じた目をゆっくりと開ける。そして、自分の体に異常がないことを確認すると、ミラに問う
「何か変わったんですか?」
「当たり前だろ。 譲渡……というより『
「創った? まあいいや。 それで私のスキルは何ですか?」
すると、ミラは自慢げな顔をし、不気味に笑い始める。
「フッフッフ。
「え、1つ目?」
ミラはシズと同じように不思議そうな顔をする。
「別に譲渡するスキルが1つは限らんだろ。 2つや3つあってもおかしくはない」
「は、はぁ……。 そういうものなのか……な?」
驚愕の真実に驚きつつも、確かに“スキルの譲渡”としか聞かされていないことを思い納得する。ミカはそんなシズのことをお構いなしに1つ目のスキルについて説明を続ける。
「『観察眼』は、簡単に言うと自分及び自分より下の者のステータスを確認できるスキルだ。 他に、アイテムや装備のステータスを確認できる。 まぁ、一言で言うと超お助け便利スキルってところだ」
「なるほど。 結構使い勝手がいいですね。 それでどうやって発動すればいいのですか?」
「基本的には言葉に出したりすると発動するが、このスキルは心で唱えれば発動するんじゃないか」
シズは言われた通り心の中でスキル名を読み上げる。
「(“観察眼”!)」
するとシズの目が黄色く光り、目の前に自分のステータス情報とミラのステータスが、文字として浮かび上がった。
【シズ・マークラス】
職業:村人
種族:人種 / 年齢:15 / 性別:女
Lv.01(上限Lv.99) / Exp:000 / 100
HP:45 / 45 MP:0 / 0
STR:15 ATK:08
DEF:02 AGI:11
LUK:07
所持スキル:『観察眼Lv.01(上限Lv.01)』『睡眠学習Lv.01(上限Lv.10)』
【ミラ・ーーーー】
職業:ーー
種族:ーー / 年齢:ーー / 性別:女
Lv.-- (Exp:-- / --)
HP:-- / -- MP:-- / --
STR:-- ATK:--
DEF:-- AGI:--
LUK:--
所持スキル:ーーー
「うわ~! すごい! 本当に出てきたって私弱すぎませんか?!」
「仕方ない。 だってLv.01だし」
自分のステータスが思ったより低いことに驚きつつも、ステータスをまじまじと確認する。そして、自分の『所持スキル』の欄に、もう1つのスキルを発見する。
「あ、これがもうひと……つ……のォォォオオオオ!!」
「なんだ! そんなに驚いて」
「いやいやおかしいでしょ! なにこの『睡眠学習』とかいうスキル!!」
そのスキル名を聞いたミラはそっぽを向き、答えない。こういう時の対処法を嫌というほど自身で体験しているシズは、すぐさまミラの向いている方に顔を出す。
その顔は薄い目をし、どこかで見たことのある半分不気味に笑った顔だった。
「ミラ様。 なんですこれ」
「ひぃっ!」
シズの不気味な笑顔を見たミラが小さく悲鳴を上げる。そして正面を向き、ぷるぷると震え目じりに涙を溜めながら素直に答える。
「と、特殊スキル……?」
「でしょうね。 聞いたことないですし。 それでなんですこれ」
「分かんない。 なんとなくできちゃったスキルだし……」
これ以上問い詰めると、今にも泣き崩れそうなのでシズは一旦不気味な笑顔を止め、普通の顔に戻る。そして、ミラの目に溜まった涙を優しくふき取ってあげると、頭を軽くなでる。
「まあいいです。 自分で使って調べてみることにしますね」
「よ、よきに……はからえ」
「(ん~、この神様可愛い!!)」
しばらくベットの上で撫でながら軽い会話をしていると、ミラは普段通りに元気になった。
色んな意味で満足したシズは、ここから出るべくミラに催促する。
「ミラちゃん、私そろそろ元の世界に戻りたいのだけど」
「分かった。 今
会話中いつの間にか、シズの中でミラの愛称が「ミラ様」から「ミラちゃん」に変わり、ミラもそれを認めていた。そう呼ばれるのは、とても嬉しいようだった。
そして、ミラが何もない空間に手をかざすと、人1人が通れるほどの小さな亀裂がピシャッっという音と共に浮かび上がる。
「シズ。 ま、またきてね……///」
「うん! うんっ! いつでも行くよ~えへへ///」
シズは別れの挨拶を済ますと、ミラが作ってくれた転移門の中に飛び込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます