概要
鬱屈した自意識の塊は、時代の奔流の中で自慰に浸る。
神は横臥し、天は有り余る子の愛に依って横たわる御身を受け止めた。存在が掻き消える寸前、神はその玉手を揺らし、生きとし生けるものに赤糸を結んだ。赤糸が示す意味を矮小な彼らには推し量れなかったが、しかしこれは神の置き土産。人と言う種は赤糸を縁と呼び、神をアレスと敬った。
時は流れ、アルスリア地方では南北に横たわるロア山脈を挟み、人の治めるファート王国と同じく人の治めるローレリア帝国が栄えていた。その2カ国が同盟を結び、競うように領地を拡大していたのも今は昔。人の間で広く信仰を集めるアレス教が他種族への優越を原動力とした侵略に歯止めをかけたのだ。
アレス教は次に他種族への差別意識や奴隷制を批判した。これはその真っ只中、束の間の平穏を甘受する人々の――“生きとし生けるもの”の物語である。
時は流れ、アルスリア地方では南北に横たわるロア山脈を挟み、人の治めるファート王国と同じく人の治めるローレリア帝国が栄えていた。その2カ国が同盟を結び、競うように領地を拡大していたのも今は昔。人の間で広く信仰を集めるアレス教が他種族への優越を原動力とした侵略に歯止めをかけたのだ。
アレス教は次に他種族への差別意識や奴隷制を批判した。これはその真っ只中、束の間の平穏を甘受する人々の――“生きとし生けるもの”の物語である。
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