ビターなテーマ×心地よい読後感!完璧な学園ミステリ

お人好しな性格の主人公・月ノ下くんが学内外の事件に巻き込まれ、ヒロインの星原さんの力を借りつつ2人で問題を解決していく展開は、(基本的には)前作と同じです。
短編集という形もあって読みやすく、一つ一つのお話しに面白さ+考えさせられるテーマが設けられています。作品全体を通して読み終わった時には、読む前の自分と少しだけ違った景色が見えるようになるような稀有なweb小説です。
前作から引き続き、どの短編も極めて完成度が高く、そのままノーチェックで書籍化できそうなレベルだと思います。
その中でも特に私が好きなのは『魔女のロッカーと欠落の美』です。これはミステリとしてとても優れています。無数の紙片が中に貼りつけられていた封印された魔女のロッカーという"興味深い謎"に始まり、"的確なヒント"から"独創的な着想"、"論理的な推理"へと繋がり、そこから"意外な犯人"、そして"話のオチ"までの全ての要素が完璧で、これにはただただ脱帽しました。
読み終わった後の爽快感と、少しビターな味付けのテーマが癖になります。
続きもあるようなので、早く読みたいです。

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