甘い誘惑、世間の目、そして、心の拠り所。年の差の恋。
- ★★★ Excellent!!!
主人公は高校教師をやめてしまった若い女性。
心に傷を負って、母と二人、実家暮らし、本屋でアルバイトをしながら過ごす日々。
そんな彼女、凪《ナギ》の前に、透《トオル》くんは現れる。
24歳の大人の女性と、18歳の高校生男子の物語。
在職中に彼女を見かけていてた透が凪にアプローチをかけていく。
少し押しの弱い雰囲気のある凪は、徐々に透に押し切られるように、それでいて、惹かれていく。
このあたりに、彼女の弱さ、そして、儚さ、危なっかしさみたいなものも見え隠れしつつ、物語は、透の高校生時代、そして大学生時代、
へと一歩づつ進んでいきます。
二人の恋愛を基軸にして、少しずつ現れる、新しい男性たちが、出来事が、成長が、二人の関係を混乱させ、そして、二人を大人にしていきます。
(特に櫻井さんの立ち位置が非常に微妙なバランスで要になっていますね)
前半戦は甘々な恋愛の言葉が飛び交っているんですが、中盤から徐々に人間関係がもつれて、愛情は絡まり合って文学的な世界に転がっていきます。
後半に向けてはしっかりとドロドロしていくので、あぁ、ある種のリアリティがしっかり書かれているなぁ、と興奮してしまいました。
始めの導入にはWEB小説らしい派手な掴みは無いかもしれませんが、長編作品として、じわりじわりと広がり、そして、各キャラクターの存在を確かに育てていってくれる作品です。
秋の夜長に是非味わってください。
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ところで、レビューとしては脱線なのですが、
「うわー、社会人女子と高校三年生って年の差やばいわ〜! 外から見たらマジで大変そう〜!」
とか、思っていたら、途中で
「6歳差」
という表現があり
「エ? たった6歳?」
ってなりました。
私事ではございますが、実は、私、成井露丸。既婚で、奥さんが5歳年上ですので……、意外と、まぁ、登場人物のカップルに近かったのですね〜。
ほほぅ〜。
という謎の読後感想を持ちましたです。はい。
お後がよろしいようで。