第二十三話
年が過ぎ、私は卒業式を迎えました。
証書を受け取り、仲のいい人は当然いませんでしたから祝賀会にも参加せず部屋へと帰りました。寮の中には何もありません。早く出て行けという御触れがありましたので、早々に支度し、全て捨てました。引っ越しが遠方でしたし、特に思い入れのある物もなかったものですから、片付けに労はかかりませんでした。
卒業後は小さな会社の事務員として働き始めました。そこでも私は、何かしらの蔑みや難癖を付けられたり、「不幸ねかわいそう」と、優越感が多分に含まれた同情を寄せられたりしました。
そうして、今に至ります。
大学を卒業してから幾年も経ちました。けれど私は、やはり一人きりの部屋で、一人きりで生きています。
身体は幾らか痩せました。あの日、喫茶店で母と会って以来幻聴が途切れ、鏡に映る姿も自分そのものにしか見えなくなりましたから、身体が細く、脆くなっていくのに忌避感はありませんでした。そして、ただでさえ惰弱だった心も、身体とも同じように、更に弱く、小さくなっています。生から喜びが消え、最近では悲しみさえも消えてしまって、世界には虚無と無色が広がるばかりで、一度暇になりますと、何十時間も眠るばかりとなり、
私はもはや安らかな死を望む人形でした。悲観も楽観もなく、用意された悲劇を演じるNavet。誰も観ていない舞台の上で、歓声も拍手もなく、そして、惨めな死をもって終幕となるのです。
それまでは、一人踊り、歌い続けましょう。孤独の演目を、スポットライトの当たらぬ、暗いステージで……
薄幸 白川津 中々 @taka1212384
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