https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818093092913690727
ロデシアの考えは美しく正しいものだった。確かに過去もわだかまりも全て清算し互いに共存していければそれが最も理想的である。しかしそんな風に上手く運ぶ事はない。人が増えれば争いは起こる。是非もなく、人は人を憎しみあい、否定しあい、殺し合うのだ。それを少しでも抑えるには禍根を残さぬよう敵を殲滅するしかない。僅かな火種も残さず徹底的に討ち滅ぼして平和を維持するという手段を取る以外に道はないのだ。俺がハルマを相手にそうしたように。
だがそれは理屈でしかなかった。
ロデシアの発言は感情によるものである。
古今当代人間は感情によって生きる。そうとも、理ばかりが通れば争いなど起きるわけがない。人は感情によって愛し、憎しみ、傷付け、傷付くのだ。それがいかに愚かであると分かっていても。
「ロデシア。駄目だ。その子供は殺す。そうしなければ、いずれ俺達は滅ぶ事になる」